当事者が読んでも良い「リベット」。 | 三十路から始める、ヲンナづくり。

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前身ブログ『新・こんなおゲイの汚れ道。』よりリニューアル。
すいません、もうゲイは卒業です。
30代よりホルモン治療を開始し、
男性でも女性でもなく「女装性」として
生きていく覚悟を決めたアロムの迷走ぶりを見守って!

BLのレビューなんていうお仕事をさせて頂きながら、

ブログでは、木原音瀬氏の作品ばかりを取り上げ

絶賛しまくっているのも、偏り過ぎていてどうよ、

という気がしないでもないけど

木原音瀬氏の作品しか読んでないし、

読みたくないのだから仕方がない。


引き続き、腐女子から借りた、

大量の木原音瀬セレクションを

鈍足ペースで読み進めているのだけど

これまた飛んでもない名作に当たったのでした。


ワタスの中で、『美しいこと』を超えたかもしれない

その作品の名は、『リベット』。


リベット (Holly NOVELS)/木原 音瀬


ネタバレするので、「それは困る」という方は

読み飛ばしてください。



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この作品のテーマは、なんと「HIV」


あとがきで木原氏が書いているけど、

他社ではプロットの時点でボツを食らっていたらしいわ。


そりゃそうだ。

セックスシーンは描きづらくなるだろうし、

安易にHIVをBLで取り上げたら

当事者からはもちろん、

各所から社会的な批判を受けかねない。


いわば、BLにとってHIVはタブーなはず。


それだけに、


大丈夫なの?

迂闊だったんじゃない?

下手なオチの付け方したら、

ワタスだって黙っちゃいないわよ?


──と、姿勢を正し、厳しい視線を送るワタスと


木原氏だもの、きっとやってくれるはずだ!


と期待をよせるワタス。


そんなアンビバレントな思いで

読み始めたのだけど……。


これが実に素晴らしかったの!


ワタスは当事者ではないけれど、

あえてHIVを取り上げるだけあって、

書き手も、しっかりHIVという問題に

向き合っているように感じたし

HIVポジティブが抱える苦悩や葛藤や悲哀、

そして必死に生きようとする強くて脆い姿を

リアルに描ききっている。

(もちろん小説なので都合のいい部分はあるけど)


少なくともワタスは、そこに

「HIVさえも“萌え”の材料にしてしまおう」

というような軽薄さは感じなかったわ。


むしろ「ここまでやるとは」と良い意味で

裏切られた気分で、

恥ずかしながらウルッときてしまった。


『美しいこと』の時にも書いたけど、

これはもうBLではないわ! 上質な文学です!


まあ、とはいえ、

HIVポジティブの人に積極的に勧めようとは思わない。


ただ、HIVポジティブの人が読んでも

悪い反応が返ってくることはないんじゃないか、

そう思えた作品。


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