ゲイが出会った!こんなおホモ達。2-4 | 三十路から始める、ヲンナづくり。

三十路から始める、ヲンナづくり。

前身ブログ『新・こんなおゲイの汚れ道。』よりリニューアル。
すいません、もうゲイは卒業です。
30代よりホルモン治療を開始し、
男性でも女性でもなく「女装性」として
生きていく覚悟を決めたアロムの迷走ぶりを見守って!

──前回までのお話はこつら。



ワタスは、高校に入学はしたものの

1年生の夏休みを待たずに、休学届けを提出していた。


持病のために体調が優れず、

体重も35キロ弱まで減っていた、ということもあるが

なによりワタスには、高校自体が居心地の悪い場所だったのだ。


といっても、学校の誰かにイジメられたとかいうわけではない。

むしろクラスメイトも先生も、ワタスを好意的に受け入れてくれていた。


だけどワタスは、どうしようもなく、そこにいるのが辛かった。


もっと自分が希望する勉強ができるところだと期待していたのに

結局は中学校での学習の延長でしかないことに幻滅していたし、


元来人見知りの激しいワタスが、

中学時代の気心の知れた仲間たちと別れ、

まったく新しい顔ぶれと一緒に生活しなければならない現実と、

その彼らに合わせたり、

お茶らけたキャラを演じて、サービスしなければならない日々は、

ワタスを酷く疲れさせた。


そしてなにより、中学校よりはるかに濃く、教室中を漂っている

性的なムードが、ワタスを息苦しくさせるのだ。


男子たちは、「俺はオトコだ」という自意識をもち

女子たちに目配せをしているし、


女子たちは、「私はオンナよ」という自意識をもって

男子たちを上目遣いで見つめている。


「オトコ」でも「オンナ」でもないワタスは、

その中でたった一人、違う世界の人間だった。


本当の自分を明かすことは一切許されない(と思っていた)し、

そもそも「自分は一体何者なのか・・・」という問いに対する

答えさえも見つかっていない。


自分のことも、これから進むべき道もわからない、そんなワタスにも

「とにかく此処にはいられない」

ということだけは、ハッキリわかった。



休学届けを出してから3年後、

ワタスは正式に自主退学の手続きをとった。


未練とか後悔なんてものは、まったくない。

校長先生のはからいで、休学という形にしてもらってはいたけれど

ワタスの中では、3年前の時点で

自分の高校生活はすでに終わっていたから。


退学するまでの3年間は、

ワタスとって暗中模索の期間だった。


まあ、手っ取り早く言っちゃうと「引きこもり」していたのである。


時々、中学時代の友達と会ったり

幼い頃から仲のイイ伯母と遊んだりしてもいたけれど

基本的には、自宅でTVゲーム&ネット三昧。


「このままではいけない」

と焦りを感じつつも、

どうしようもなく他人と関わるのが億劫だったのだ。


ワタスと二人暮しをしている父も

何も言わず、ただただ我慢強く

ワタスのしたいようにさせてくれていた。


でもきっと、父だって焦っていたに違いない。

「このままでいいのだろうか」と。


それだけに、“東京での治療話”に

ワタスが関心を示したことに

父は、驚きと喜びを隠せない様子だった。


もちろんワタスにとっても、

数泊だけのこととはいえ、

自ら率先して“外に出る”ということは、画期的なことだった。


なんかすごくワクワクする。

この旅で、自分に革命的なことが起きるかも・・・。


そんな期待を胸に

19歳になったばかりのワタスは

ひとり東京行きの飛行機に乗った。



──つづく。


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