ゲイが出会った!こんなおホモ達。-6 | 三十路から始める、ヲンナづくり。

三十路から始める、ヲンナづくり。

前身ブログ『新・こんなおゲイの汚れ道。』よりリニューアル。
すいません、もうゲイは卒業です。
30代よりホルモン治療を開始し、
男性でも女性でもなく「女装性」として
生きていく覚悟を決めたアロムの迷走ぶりを見守って!

──前回までのお話はこつら。


成人式を迎えた年の夏のある日。


ワタスは、新宿のマルイメン(メンズブランドがたくさん入ったお店)で

買い物をしていた。


お気に入りであるhiromichiのお洋服を何着か購入して

すっかりホクホク気分のワタス。


早く自宅へ帰って、ひとりファッションショーしなきゃ・・・なんて

考えながら、大きな買い物袋をぶら下げ、マルイメンを出ると、

前方から歩いてくる3人組が、ワタスの目にとまった。


いや、正確には3人の中の一番右側にいたオンナだけに

目がいってしまったのだ。


──あれ…カブじゃん…?


ぴったりと全身を覆った黒いスパッツ姿に

オールバックにして後ろでたばねた髪、

ファンデーションだけの白塗り顔。


その恰好はどう見ても、「ショーの前のオカマ」。


成人式で、カブがオカマバーで働いていると聞いていたし

すぐそばには、新宿二丁目。

あのオンナ(?)は、間違いなく「職場に向かうカブ」に違いない。


そう直感的に思ったワタスは、

顔をそむけるようにして、カブの隣を横切った。


カブに気付かれたら、なんか気まずいし…どうかバレませんように。


っていうか、元から親しかったわけじゃないし

もうワタスの顔だって、覚えちゃいないだろうけどね。


無事にカブのそばを通り過ぎ、

ホッと安堵した瞬間、


「アムロくぅぅぅ~~~ん!」


え……。


「アムロくぅぅぅ~~~ん!」


背後から聞こえてくるこの声は、ワタスを呼んでいる……。


また直感的なものだったが、ワタスはそう強く感じた。


名前間違ってるけど……。


恐る恐る声のする方へ振り向くと

「メイク途中」を思わせる顔したカブが、小走りで駆け寄ってきた。


「久しぶりぃぃ~~!」


「あ、ひ、久しぶりだね・・・」


「こっち(東京)に住んでるの?」


「そうそう」


「じゃあ、今度うちの店に遊びにきてよ! すぐそこにある店だから!」


「う、うん。そうだね。行く行く」


「待ってるね~ん。じゃあね~」


「……」


そしてまた、カブはお仲間たちと

新宿二丁目へと向かって歩みだした。



カブと偶然再会し、

初めて一対一で会話をした場所が、

まさか新宿二丁目のまん前だなんて……。

恐ろしく因縁めいたものを感じる。


とはいえ、社交辞令で「お店に遊びに行く」なんて

言っちゃったものの、結局それから数年経っても

ワタスは一度もそのオカマバーには

足を踏み入れていない。


カブ……いや、カオルちゃんは、元気にしているかすら。


──おわり。