二次会を終えると、
今度は、あるクラブを貸し切っての三次会へと突入した。
そこには、ワタスが数年片思いを続けた初恋の彼もいて
一瞬、彼とバッチリ目が合ったりもしたのだが、
シャイボーイなワタスは、動揺のあまり
自ら思いっきり目をそらしてしまい
声をかけるチャンスをみすみす逃してしまう。
バカ! ワタスのバカ!
すっかり意気消沈し、居たたまれなくなったワタスは
席を離れ、出入り口に集まっていた幹事グループの元へと向かった。
「アロム! 足揉んで!」
リーダーのM(♀)が、椅子の上に足を放り出して
ワタスにマッサージをせがむので
「はいよ、お疲れさん」と言いながら、ワタスが
Mの太ももやふくらはぎをほぐしてやっていると
Yが、その光景を見ながらつぶやく。
「アロムだから、できることだよな」
「そう。アロムだから、アタシも気にならない」
ゲイであることをカミングアウトしていない友人たちにも
こうして自然と中性キャラとして
男女ともに受け入れられていることを実感すると
ワタスは、なんともいえない高揚感と充足感を味わうことができる。
幼い時から、「敵」と見なされることがないように
ワタス自身、うまく立ち回っていたということもあるだろうけど、
「オカマっぽい」というだけで、「敵」と見なされ
からかわれたり、理不尽なイジメの対象になってしまう人も
けして少なくないわけで、
それを考えると、ワタスはかなり恵まれた環境で
思春期を過ごすことができた方だと思う。
その思春期の同じ時期を、同じ場所で過ごした
同じマイノリティの人間であるカブとは
結局、この同窓会でも何の接触もないまま
お互い、自分の生活へと戻っていった。
ちなみに、中学時代にカブが告白したRくんは、
体育系の大学へと進学し
今度はワタスが告白しちゃうかも…というくらいに
爽やかなスポーツマンのイケメンに成長していた。
カブの目は確かだったわね…。
──つづく。
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