高校受験の時期が近づくと
学年中に妙な緊張感と緊迫感が漂い
普段悪ふざけをしている男子たちも
カブをからかうことを忘れたように
すっかり大人しくなってしまった。
自分に余裕がなくなれば、みんなこんなもんだ。
当のカブはカブで、
告白後から、なんら様子が変わることもなく
いつも通り、親しい女友達とベッタリで
キャーキャーおしゃべりしていたりする。
友人Yからの続報はないし、
やはりR君からの正式な返事はなかったのだろう。
(返事していたなら、絶対またYがネタにするはず)
カブ自身も、きっとR君からの返事を
期待してなどいなかったろうし
「告白をした」というだけで、大方満足したのかもしれない。
(正確には、満足せざるをえなかったのだろうけど)
ワタスはというと、
初恋の彼と、別々の高校を受験することに憂いを感じながら
仲の良い女友達と同じ塾に毎日通っては
キャーキャーとガールズトーク(?)をして
不真面目に受験勉強に励んでいた(←ダメじゃん)。
なんだか、随分カブと行動と意識がダブってるような・・・。
ぶっちゃけたところ、
あからさまに女性性(話し方、仕草、人付き合い)を
前面に出しているカブのことを、
ワタスは自分のことを棚にあげて、軽蔑している部分があったし
「ワタスは、彼とは違うわ」と考えて
自ら一線引いているきらいもあった。
だけど、その度合いや質は違えど、
男でありながら男を好きになり、オカマ気質のある同士、
共通する部分が大いにあることは、けして否定できない。
とはいえ、ワタスとカブは
結局、「顔見知り」程度の関係のまま
違う高校へと進学していった。
ワタスが、生まれて初めて生で出会った
同じマイノリティの人間であるカブと再会したのは、
それから5年後のことだった。
──つづく。
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