「おい・・・クックック・・・聞いてくれよ。ククク・・・」
隣のクラスの友人Yが、
さも笑いをこらえきれないといった様子で
ワタスに駆け寄ってきて言った。
「カブ(仮名)が、Rに告白したらしいぜ! ギャハハ!」
「え!? どういうことよ?」
「今朝、バスケ部の朝練が終わったRのところに来て
“好きです”って書いた手紙を渡しにきたってよ!」
「えええええ! それってラブレターってこと!?
…で、R君はどうしたの?」
「一応受け取ってたけど、めっちゃ迷惑がってる!
そりゃそうだよな。カブからラブレターなんて…ギャハハハ!」
ワタスが中学生3年生だったある日、
オカマキャラを誰からも認知されていた、同じ学年のカブ(♂)が
バスケ部のイケメンR君に、ラブレターを送って告白したことが
特大ニュースとして、学年中をにぎわした。
ワタスとカブは、小学校からずっと同じ学校で過ごしてきたものの
一度も同じクラスにはなったことはなく、
お互い「顔見知り」程度の間柄だ。
でも、カブの乙女性というか、オカマ性には
ずっと前から気付いていた。
小学1年生の時には、
彼が“ひみつのアッコちゃんのコンパクト”を
持って歩いているところを見たことがあるし
“リカちゃん人形”で女の子達と遊んでいるところも見たことがある。
ワタス自身もその頃には、
同級生からオカマ扱いをされていたオトコだし
たぶん、というか間違いなく
「お仲間」であろうことも察知していたけれど
不思議と、彼にシンパシーを感じることは一度もなかった。
彼の話し方、仕草、日々の過ごし方は
ワタスなんかより、遙かに強く女性を意識していたし
筋金入りといった印象を与えていたからだ。
そのカブが、ついにやらかした。
もはや、カミングアウトともとれる暴挙に出たのだ。
やっぱり…というか、当然のごとく
カブは、心ない男子たち(女子含む)の嘲笑の的となる。
決死の覚悟での告白だったろうに…。
ワタスは、カブに同情するとともに
告白を実行できた彼を、少し羨ましく思った。
──つづく。
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